「ハァ……ハァ……早く、調べてここから出よう」


翔太も、そして高広でさえも、その呼吸が乱れ始めていた。


こんな状況で、まともにカラダを探す事なんてできそうにない。


でも、苦労してここまで来たのだから、今日中になんとか旧校舎は終わらせなきゃ。


「『赤い人』はここにはいないみてぇだな。他の何かは、いそうだけどな」


高広が、不吉な事を言い出す。


ただでさえ怖いのに、そんな事を言うのはやめて欲しい。


でも、そう言いたくなるような気配を、私も感じていた。


八代先生がいつも出てくる職員室。


そこに、この空気から逃げるように入った私達は、乱れた呼吸を整えていた。


と、言っても、職員室の中も廊下と同じ雰囲気が漂っているのだけど。


「どこに行っても同じかよ……くそっ! カラダを探すぞ!」


近くに置いてあったゴミ箱を蹴飛ばし、高広が部屋の奥へと歩いていく。


「俺と高広で、壁際の収納は調べる。明日香はデスクを調べてくれ」


私の肩をポンッと叩いて、翔太と高広は手前にある棚に向かった。


私は部屋の真ん中にあるデスク。


携帯電話の照明を向けて、目の前にあるデスクの引き出しを開けた。