でも、私の携帯電話が照らし出した、階段の踊り場には……。




ものすごい力で潰されたであろう理恵の上半身が……その下半身の上に、おおいかぶさるようにして、そこにあったのだ。


「り、理恵……あああ……」


うつろな瞳で、階段を見つめている理恵の無惨な姿に……私は昨日の恐怖が、脳裏をよぎった。


また、あんな痛みは味わいたくない。あんな苦しみは嫌だ。


踊り場で息絶えた理恵も、きっとそう思っていただろう。


「もう……嫌だよ……」


必死に抑えていた涙が、ボロボロと頬を伝い落ちる。


もう嫌だ、どうして私が、なんて言葉を並べても、この状況が変わるはずもない。


私達が死ねば、また何事もなかったかのように、「昨日」が始まって、私達は「カラダ探し」をしなければならないのだ。


泣いている暇なんてなかった。


涙を制服の袖で拭き、私は再び教室に戻って、開けようとしていたロッカーへと歩を進めた。


冷たく、張り詰めた空気が私の足取りを重くする。


そして……ロッカーの前に立ち、ゆっくりとそれを開けた。


と、同時に私に倒れかかってくるモップ。


「きゃあああああっ!」


思わず声を上げてしまった私だったけど。