何を思い出したのか、理恵が声を上げた。
教室内を動き回っていた翔太が動きを止めて理恵の方を向く。
「で? その使えそうな物ってのは、どこにあるんだ?」
翔太がたずねるより先に、高広が理恵に歩み寄りたずねた。
でも、理恵がひとりでいた時間は短いはず。
いつも、誰かと一緒にいたはずだから、理恵が知っているなら他の誰かが知っていてもおかしくないと思うんだけどな。
「体育館の倉庫に、綱引きの綱があったと思うけど……あったよね? 留美子」
「え? あー……あったかな? 覚えてないや」
体育館に行ったのは、健司に襲われそうになった日だ。
高広も言っていたけど、カラダを探す事で精一杯の状況では、他の物を見ている余裕なんてなかったから、留美子が覚えていないのも無理はない。
「綱か! 図書室の上から降りる分には十分な長さだな。西棟の屋上からでも行けるかもしれない」
理恵の言葉に、翔太の表情がパアッと明るくなった。
確かに綱なら、切れないだろうし長さもあるから大丈夫だと思う。
それに、「赤い人」も健司も遠くにいるから、行くなら今しかない。
私達に、迷っている暇はなかった。
廊下の音を聞いて、近くに「赤い人」も健司もいない事を確認して、私達は教室を飛び出した。
教室内を動き回っていた翔太が動きを止めて理恵の方を向く。
「で? その使えそうな物ってのは、どこにあるんだ?」
翔太がたずねるより先に、高広が理恵に歩み寄りたずねた。
でも、理恵がひとりでいた時間は短いはず。
いつも、誰かと一緒にいたはずだから、理恵が知っているなら他の誰かが知っていてもおかしくないと思うんだけどな。
「体育館の倉庫に、綱引きの綱があったと思うけど……あったよね? 留美子」
「え? あー……あったかな? 覚えてないや」
体育館に行ったのは、健司に襲われそうになった日だ。
高広も言っていたけど、カラダを探す事で精一杯の状況では、他の物を見ている余裕なんてなかったから、留美子が覚えていないのも無理はない。
「綱か! 図書室の上から降りる分には十分な長さだな。西棟の屋上からでも行けるかもしれない」
理恵の言葉に、翔太の表情がパアッと明るくなった。
確かに綱なら、切れないだろうし長さもあるから大丈夫だと思う。
それに、「赤い人」も健司も遠くにいるから、行くなら今しかない。
私達に、迷っている暇はなかった。
廊下の音を聞いて、近くに「赤い人」も健司もいない事を確認して、私達は教室を飛び出した。



