カラダ探し

高広が何を考えて引き返しているのかはわからない。


けれど、どうすればいいかわからない私達はそれに続いた。


渡り廊下を戻り、最初にある教室に全員が入る。


それと同時に、生産棟の方から聞こえてくるあの歌。


教室のドアを少し開けて、廊下の音を聞いている私。


その歌は、徐々に遠ざかって行って……こちらには来ていないという事がわかり、ホッと溜め息をついた。


「大丈夫、行ったみたい」


私がそう言うと、安心したような表情を浮かべて机に腰かける留美子。


「でも、これからどうする……工業棟に行くどころか、これじゃあ生産棟にも行けないぞ」


頭を抱えながら、翔太はうろうろと教室の中を歩き回っている。


工業棟に行けば、何かがあるかもしれないのに、そこには「赤い人」がいて、さらには健司までが生産棟にいるのだからどうしようもない。


「あ! そう言えば、トイレのホースってさ、かなり長くない? 東棟の三階にあったホースは、10メートルくらいあるんじゃないかな?」


「あんな柔らかいホースで屋上から下りるって言うつもりか? ぶら下がったとたん、ちぎれて落ちるぞ」


せっかく思い出したのに……翔太も、イライラしてるからって、そんな言い方はやめてほしい。


「そうだ! ロープじゃないけど、使えそうな物があったかも!」