カラダ探し

「じょ、冗談でしょ? どうするのよ……これじゃあ、行けないじゃん」


今の校内放送で感じたのは恐怖なのか。


留美子が発した声は小さく、震えている。


「言ってる場合か、階段まで戻るぞ」


翔太の判断は早かった。


言うより早く、今来た道を引き返す。


もう少しで工業棟だったのに……。


でも、ここで「赤い人」に見つかってしまえば、全員が死んでしまう可能性がある。


確実に「赤い人」がいるとわかっている場所に、わざわざ飛び込む必要はない。


「そうだね、見つからないうちに早く戻ろう」


あの歌はまだ聞こえないから、この近くにはまだ「赤い人」はいないという事だ。


「高広、それでも行くなんて言わないでよね」


私が止めないと、行きそうな気がして。


高広の手を取り、生産棟に引き返した。


今日はまだ、誰も死んでいない。


いつもなら2人か3人は死んでいてもおかしくない時間なのに。


生産棟の階段に着いて、皆がいる事を確認した時だった。








「……っかにそめあげて~」