カラダ探し

西棟と生産棟をつなぐ、渡り廊下を歩いている途中で留美子。


その声も、私には邪魔でしかないんだけど……。


「ふたりとも、静かにしようね」


理恵が、高広と留美子の背中を叩き、人差し指を立てて口に当てる。


「シーッ!」と、理恵に言われたら、ふたりも黙らないわけにはいかない。


そのまま歩き続けて生産棟に入り、階段の前。


少し前方にある交差点が一番怖い。


そっと耳を近づけて、廊下の音を聞く。


目を閉じて、かすかな物音も聞き逃さないように。


耳に痛いほどの静寂の中、あの歌が聞こえないと判断した私は、皆にうなずいてその交差点を通り、工業棟へと続く渡り廊下の方へと歩き出した。


できるだけ早く、だけど足音は立てないように。


この調子なら行ける。


渡り廊下の真ん中まで来て、そう思った時だった。












『「赤い人」が、工業棟二階に現れました。皆さん気をつけてください』










まるで、私達の行動を読んでいるかのような校内放送が流れた。