そんな足音が、教室の前の廊下から聞こえる。
私は、廊下側の壁に背中を付けて、その音が通り過ぎるのを、ただ祈るしかなかった。
歌と、ペタペタという足音。
それがこの教室の前で止まり、聞こえなくなった。
そこで立ち止まっているだけなのか、それとも、教室の中に入ろうとしているのか。
どちらにしても、この教室に入ってくる!?
そう思ったけど……そうではなかった。
痛いほどの静寂に、息もできずに震えていた時、校内放送が流れたのだ。
『「赤い人」が、工業棟一階に現れました。気を付けてください』
その放送を聞いて、私は理解した。
「赤い人」は、動き続けているわけじゃない。
突然消えて、突然現れるのだという事を。
工業棟は、昼間に留美子が逃げた場所。
ここからだと、かなりの距離があるし、何より西棟の三階は、どの棟にもつながっていない。
この間に、探せる所は探しておきたいけれど……理恵の事が気になって、私は教室を出た。
「理恵……大丈夫だよね……生きてるよね?」
叫び声は、階段の方から聞こえた。
理恵が死んだなんて思いたくはない。
私は、廊下側の壁に背中を付けて、その音が通り過ぎるのを、ただ祈るしかなかった。
歌と、ペタペタという足音。
それがこの教室の前で止まり、聞こえなくなった。
そこで立ち止まっているだけなのか、それとも、教室の中に入ろうとしているのか。
どちらにしても、この教室に入ってくる!?
そう思ったけど……そうではなかった。
痛いほどの静寂に、息もできずに震えていた時、校内放送が流れたのだ。
『「赤い人」が、工業棟一階に現れました。気を付けてください』
その放送を聞いて、私は理解した。
「赤い人」は、動き続けているわけじゃない。
突然消えて、突然現れるのだという事を。
工業棟は、昼間に留美子が逃げた場所。
ここからだと、かなりの距離があるし、何より西棟の三階は、どの棟にもつながっていない。
この間に、探せる所は探しておきたいけれど……理恵の事が気になって、私は教室を出た。
「理恵……大丈夫だよね……生きてるよね?」
叫び声は、階段の方から聞こえた。
理恵が死んだなんて思いたくはない。