カラダ探し

そして……カチャッという、ロックが解除された音。









キィィィ……。








ドアが内側に、ゆっくりと開かれる。


逃げたい、今すぐ高広のいる隣のトイレに逃げ込みたい。


なのに、足が動かない。


もう慣れたせいか、「赤い人」や健司に遭遇した時はすぐに逃げ出せるのに……。


このじわじわと迫りくるような恐怖は、「赤い人」に見つからないように隠れている時に似ている。


そのドアの縁を、中から伸びる手がつかんだ。


さらに開かれたドアに、少しずつ後ずさりするのが精一杯。


誰なの……「赤い人」は生産棟の一階にいるはずだし、これは健司の手じゃない。


もしかして、放送室の中の人がこんな所に?


そう考えると、さらに足が震えて……。


壁にもたれないと、立っていられない。


そして、そのドアから出てきた人物が私に駆け寄り、抱きついてきたのだ。


あまりに理解不能な行動、そして把握できない状況に、私は悲鳴を上げる事もできなかった。


「あ、明日香! 良かった……会えた」


え? この声……そして、私の胸に押し当てられている、大きく柔らかい胸。