カラダ探し

「カラダ探し」を始める前だったら、こんなシチュエーションは絶対にごめんだ。


でも今は、そんな事を言ってる場合じゃない。


トイレの中に歩を進め、掃除用具入れを開けてみる。


デッキブラシや、無駄に長いホース、バケツや雑巾といった物があるだけで、カラダは見当たらない。


ドアを閉め、トイレの個室の中を確認する。


和式の水洗トイレ。


内側に開かれたドアは、外から見るだけでカラダが無い事がわかる。


そして隣の個室。


ここにもない。


まあ、このトイレにはないんだろうなと思いながらも、最後の洋式トイレのドアに手をかけようとした時だった。


えっ?


私はドアに触れる瞬間、思わずその手を引っ込めた。


取っ手の小さな穴の部分が、ドアがロックがされているという意味の赤色になっていたから。





そして……視線を感じた私は、ゆっくりと携帯電話を天井の方に向けた。

携帯電話が照らし出したその先には……黒い頭のような物が、一瞬だけど見えたのだ。







だ、誰!?






背筋に悪寒が走り、手足がガクガクと震え始める。


悲鳴を上げたいくらい怖いけれど、放送室が近くにある事を考えると、声が出せない。