カラダ探し

そのためだけの手段として使う場所なのだから。


「開く事がわかったんだから、調べる必要はないんじゃないかな? まずは教室とトイレを調べようよ」


私がそう言った理由は他にもあった。


この屋上は、西棟の廊下、東棟の教室、玄関前のホールのいずれの場所からも見られてしまう。


つまり、放送室のブラインドが開いていれば、ここにいる事がわかってしまうのだ。


中の人に見つかって、「赤い人」を呼ばれたくはない。


ここを調べるのは、最後で良いと私は思っていた。


「それなら早く行こうぜ。開く事がわかっただけでも、収穫はあったからな」


と、高広がトイレ側を指差した時だった。






「……をちぎってあかくする~」







隣にある階段の下から、「赤い人」の歌がかすかに聞こえた。


この声が聞こえたと同時に、高広が私の口を手でふさいで壁に背を付けた。


「赤い人」が迫っているかもしれないという不安と、高広に抱かれている緊張が混ざり合って、何とも言い難いドキドキが私の胸を貫く。


「静かにしてろ。お前が言った事だろうが」


私の耳に、息を吹きかけるようにささやく。