「ダメだ……考えがまとまらない……」


「赤い人」がこないうちに、右から探そう。


しばらく立ち止まり、考えてから、そう結論を出した時だった。







「う、うわあああああああああっ!! く、来るなあああああっ!」







翔太の叫ぶ声が、校舎中に響き渡り、走ってくる足音が……こっちに近づいてくる!?


「嘘でしょ!? 何でこっちに来るのよ!!」


急いで北側の教室に逃げ込み、その場にしゃがむ。


よりによって、階段を駆け上がってきている。


来ないで……こっちに来ないで!!


祈るように心の中で叫ぶ。


その祈りが通じたのか、三階に上がった翔太は、こちらではなく、南側へ向かっていったようだ。


だとすれば、きっと翔太は二階に行く。


そこには……理恵がいる。


はち合わせしてしまえば、ふたりとも死んでしまうかもしれない。


でも、私が行っても、助ける事はできない。


今、私ができる事は「カラダ」を探す事だけ。
そう、自分に言い聞かせて立ち上がると、部屋を見回した。


パッと見、何もあるようには思えない。


それはそうだよね……机の上に、ポンと置かれているくらいなら、「探して」なんて言われるはずがないよね。