じゃあ、今私を抱きしめているこの人は……。


高広が懐中電灯の光で照らし出した、私を抱きしめている人物。







地面に腰を下ろし、私の頭をなでていたのは……遥だった。


無表情で、懐中電灯の光を見つめているその姿は、高広から見れば異様以外の何者でもないだろう。


「い、いやっ!!　離して！」


遥の腕を振りほどこうと、必死に抵抗するけど……全然動けない。


「明日香！　離れろ、この野郎!!」


いくら遥が化け物みたいだとは言え、相手は女の子。


高広も手荒な事はできないようで……私の頭をなでる手を引きはがそうとするけれど、まったく動かない。


そして……。








「ねえ、ふたりとも……私のカラダを探して」








そう言い、高広を振り払った遥。


ゆっくりと私の顔を覆うように倒れてきて、迫る遥の顔に恐怖を感じた私は、思わず目を閉じた。






しばらく沈黙が訪れ……私を包んでいた遥の身体の感触がなくなって、地面に倒れてしまう。


「痛っ！」


短い悲鳴の後、近付いて来た高広が私に手を差し伸べる。