カラダ探し

海岸へと下りる階段。


「あれ……なんか見覚えがある。ここって、石ばかりの海岸だよね?」


ここまで来て、やっと思い出せた。確かに、昔連れて行ってもらった事がある。


砂浜じゃなく、石と岩で形成された海岸に。


「なんだ、覚えてるじゃねぇか。だったらわかるだろ? この下だよ」


そう言いながら、階段を照らして、海岸へと下りていく高広。


昔は、理恵と3人で来ていたはず。


だったら、理恵も誘えば喜ぶのに。


階段の下は真っ暗で……足元も岩で不安定。


その中の、一番平らで大きな岩の上に、高広は腰を下ろした。


「え? もしかしてここ?」


真っ暗で、辺りに光がないこの場所で、高広がリュックの中から毛布を取り出した。


一体……何を見せたいのか。


私はそれが気になっていた。


岩の上に座る高広の隣に、私も腰を下ろして、渡された毛布にくるまった。


「それで、何を見せてくれるの? こんな所まで来て」


夜の海で、高広とふたり。


昔のような、無邪気な子供じゃない。


もうふたりとも高校生で……私は高広の事が好きになっている。