カラダ探し

「いいんじゃない? 『昨日』みたいな事があったら困るから、高広も一緒の方がさ。明日香もいるしね」


フフッと微笑んで、理恵が留美子をなだめるように答えた。


確かに、変なやつらにからまれた時に、高広がいてくれるとありがたいけど……最後の言葉は余計だ。


「はいはい、そうだったね。それで、どこに行くつもりなの?」


「お前らなぁ……いい加減それを言うのをやめろ……」


さすがに高広も、何度も言われ続けると腹が立つのだろう。


胸の前で握り締めた右の拳が、プルプルと震えている。


あまり言われすぎると、私だって「もういいよ」って言いたくなるから。

でも、高広が何を言おうとしたのかは気になる。

男子と女子で、行動が違うから、高広の提案もいいかもしれないと思っていた。







高広の提案で学校を後にした私達は、電車に乗っていた。


今は、八代先生と話す事もないという翔太も無理矢理連れ出して。


なんだか旅行気分で楽しい。


「海に行こうぜ」なんて、高広が言い出した時には、留美子の反応が怖かったけど……意外と乗り気で、今じゃあこの中の誰よりもこの状況を楽しんでいる。


「海かぁ、夏に行きたかったなぁ。それにしても高広、海の近くに親戚が住んでるなんて知らなかったよ、あんたやるじゃん」