カラダ探し

それは、私達が生まれるずっと昔の事で、今の時代しか知らない私にとっては、想像もできない時代。


「そういや、そんな事を言ってたな。ばあちゃんも、かなり暴力を振るわれたって。あの写真は、息子が生まれた時に撮ったから、皆笑顔なんだ」


思い出したかのように空を見上げて、どこか遠くを見ているような高広。


「そう、でも泰蔵に振るわれた暴力は、もっとひどかった。寝る場所も、母屋から離れた納屋だったらしいからな。今の時代で考えると、人間らしい扱いを受けていなかった。それでも、泰蔵にとって雄蔵はかわいい弟だったんだよ」


「なんだか……悲しいね。今の時代に生まれていれば、そんな事にはならなかったかもしれないのに」


そう思っても、人は生まれてくる場所も時間も選ぶ事はできない。


それが運命だと言うのなら、私達が今「カラダ探し」をさせられている事も、また運命なのかな?


そう考えると……なんだか不思議な気分になった。


「だけど、雄蔵が美子を殺す動機がない。たぶん、泰蔵を殺害した現場を美子に見られたからじゃないかな? バラバラにしなきゃいけなかった理由はわからないけどさ」


まあ、そればかりは当事者がいないんだからわからないと思う。


事件に関係した人間が、全員死んでしまったのだから。


「一番重要な事がわからないじゃん……どうして美子が殺されたのか」