「ちょっと早すぎたかな……」
やっぱり、高広の事が気になっているから、こうして待ってるのかな。
そうじゃなければ、チャイムを鳴らされても待たせておく事が出来たのに……。
「昨日」とは違う「今日」の私の気持ちが、こんな行動を取らせていた。
いつもよりも、10分も早く準備を済ませて待っているのに、高広は何をしているんだか。
携帯電話の時計を確認していると……その高広が、慌ててこちらに走ってきているのが見える。
やっと来た。
「昨日」と同じ時間だという事は、急いで準備をしてこの時間になるのだろう。
そう考えると、何日間も起きてすぐ準備をして、迎えにきてくれている事がうれしく思えた。
「高広、おはよ」
家の前に到着した高広に、笑顔であいさつをする。
「えっ!? お、おぅ……」
息を切らせながら、私に驚いたようにそう答えた。
「あの後、西棟の一階は調べてくれたよね? 私が囮になって、『赤い人』を引き離したんだからね!」
恩を着せるつもりはないけど、そんな事を言ってみたくなった。
ちょっとだけ、いじわるをしたくなったから。
高広にそう言った後、いつもと同じように一緒に学校へと向かう。