同時に廊下に響くふたりの声。
健司に取り憑いているのは泰蔵に違いない。
「やめて! タイちゃん!」
健司のおばあちゃんがそう呼んでいたのを思い出して……私は叫んだ。
私のその声に、一瞬健司の動きが止まった。
「タイちゃん」という言葉に反応したのだろう。
その隙に、健司の左側を通り抜けようとした時……。
私の制服を、「赤い人」がつかんだのだ。
突然感じた、後ろに引っ張られるような負荷のせいで、足が前に出ない。
健司の真横で速度を落とされた私の腰に、強引に飛びつく「赤い人」。
その手に持たれたぬいぐるみが、私の膝に当たってゴツッと音を立てる。
「痛っ!」
想像していたよりも、ずっと硬いぬいぐるみのせいで、私は壁の方によろけた。
そして……横を通り抜けようとした私の首を、振り返った健司が後ろからつかんだのだ。
上から加わる力に、私はなす術もなく床に押し倒される。
そして……床に叩きつけられた私の首から、何かが折れる音が聞こえた。
声を出す事ができない。
すべての感覚が……徐々に失われていく。
健司に取り憑いているのは泰蔵に違いない。
「やめて! タイちゃん!」
健司のおばあちゃんがそう呼んでいたのを思い出して……私は叫んだ。
私のその声に、一瞬健司の動きが止まった。
「タイちゃん」という言葉に反応したのだろう。
その隙に、健司の左側を通り抜けようとした時……。
私の制服を、「赤い人」がつかんだのだ。
突然感じた、後ろに引っ張られるような負荷のせいで、足が前に出ない。
健司の真横で速度を落とされた私の腰に、強引に飛びつく「赤い人」。
その手に持たれたぬいぐるみが、私の膝に当たってゴツッと音を立てる。
「痛っ!」
想像していたよりも、ずっと硬いぬいぐるみのせいで、私は壁の方によろけた。
そして……横を通り抜けようとした私の首を、振り返った健司が後ろからつかんだのだ。
上から加わる力に、私はなす術もなく床に押し倒される。
そして……床に叩きつけられた私の首から、何かが折れる音が聞こえた。
声を出す事ができない。
すべての感覚が……徐々に失われていく。