二階に上がり、北側に向かって走る。
振り返る事ができない私は、「赤い人」の笑い声で、どこまで迫っているかを判断するしかない。
「キャハハハハハハッ!」
この無邪気な笑い声が、私には不愉快なノイズに聞こえる。
お前はもうすぐ死ぬ……と、言われているようで。
不安が、心臓から全身へと広がっていく。
まるで毒に蝕まれているような気分。
ただでさえ遅い私の足が震えて、思うように前に出ない。
やっと、西棟と生産棟をつなぐ渡り廊下に入ったのに……。
「赤い人」の手が、私の制服に触れた。
このままじゃあ、すぐにしがみつかれる。
そうなったら、私は走る事もままならなくなって、20メートルくらい歩けば、歌が終わってしまう。
「触らないで!」
後ろに振った私の手が、「赤い人」の手に当たった。
制服をつかまれるのを防ぐ事はできたけど……一時しのぎにしかならない。
生産棟の一番奥まで走って、そこから工業棟に行った方が、距離が稼げる。
生産棟に入ってすぐにある渡り廊下を通り過ぎて、突き当たりまで走ろう。
そう思った時。
振り返る事ができない私は、「赤い人」の笑い声で、どこまで迫っているかを判断するしかない。
「キャハハハハハハッ!」
この無邪気な笑い声が、私には不愉快なノイズに聞こえる。
お前はもうすぐ死ぬ……と、言われているようで。
不安が、心臓から全身へと広がっていく。
まるで毒に蝕まれているような気分。
ただでさえ遅い私の足が震えて、思うように前に出ない。
やっと、西棟と生産棟をつなぐ渡り廊下に入ったのに……。
「赤い人」の手が、私の制服に触れた。
このままじゃあ、すぐにしがみつかれる。
そうなったら、私は走る事もままならなくなって、20メートルくらい歩けば、歌が終わってしまう。
「触らないで!」
後ろに振った私の手が、「赤い人」の手に当たった。
制服をつかまれるのを防ぐ事はできたけど……一時しのぎにしかならない。
生産棟の一番奥まで走って、そこから工業棟に行った方が、距離が稼げる。
生産棟に入ってすぐにある渡り廊下を通り過ぎて、突き当たりまで走ろう。
そう思った時。