東棟と言えば、放送室の謎がまだ解けていない。


あの中にいるのは、一体誰なのだろう……。


もしも、すべての部屋を探し終わって、カラダがそろわないのならば、あの部屋にカラダがあるという事だ。


その放送室の窓を、何気なく見てみると……。


いつもは下りているブラインドが、上がっていたのだ。


そして、そこから向けられている不気味な眼差しに、私は気づいてしまった。


いや……私がその眼差しにとらえられたと言った方が、正しいのかもしれない。


その場に立ち止まった私は、放送室の人物の姿に思わず息を飲んだ。


放送室にいる人物は、長い前髪をたらしていて、その髪を分けるようにしてのぞく目で、私を見ていたのだ。


どこかで見た事のある目だと思っていたけど……遠くから見てみると、その人物が誰かがわからない。


あんなに前髪が長い人は知らないから。


私がそう思っていた時だった。


放送室の窓のブラインドが、突然下りたのだ。


「何……今の……」


姿が見えなくなって、初めて感じる悪寒。


まるで背筋に冷たい水でもたらされたような……そんな、全身がゾクッとするような不快感。


まだ放送室から見られているような気がして……私は慌てて一番奥の教室に駆け込んだ。