「マジかよ、あいつら……今、生産棟の三階にいるはずだぞ」


生産棟の方を見て、高広がそう呟いたのだ。


あの3人は、生産棟の三階にいる。


それがわかっていて、「赤い人」がそこに現れたとなると、心中穏やかではいられない。


固まって動いているからこそ、ピンポイントで狙われた時が怖いから。
今がまさにその時なのだ。


「じゃあ……早く工業棟を終わらせよう。『赤い人』がここに来ないうちに」


冷たいように聞こえたかもしれないけど、私達が行ったところで、できる事なんて何もないから。


助けるどころか、私達が殺されかねない。


だったら、一部屋でも多く調べる事が、皆を助ける事につながる。


「お、おう……そうだな。この部屋だと、後は机の下くらいしかねぇけど」


それなら話は早い。


私はすぐに机へと向かい、その下をのぞき込む。


そしてまた移動。


これを繰り返して、第一実習室は調べ終わった。


「ここにはないな。まあ、可能性をつぶしているだけだから、こんなもんか」


フウッと溜め息をつく高広。