翔太がそう言うより早く、私達は駆け出していた。


高広に手を引かれて、工業棟の一階へと向かう。


西棟に入り、階段を上がって渡り廊下。


「工業棟を探す意味ってあるのかな? カラダは、トイレで見つけたわけだし……」


「あ? そんなもん、同じ棟に二つないとも言い切れねぇだろ」


高広が言いたい事はわかる。


カラダがどこに隠されてるかわからないのだから、棟単位でしらみつぶしに探すしかない事くらいは。


でも、残り3つ……もしかして、もっとわかりにくい所にあるんじゃないかとも思えて仕方がない。


「そうだね、探すしかないんだよね」


工業棟にはもうないかもしれない。


でも、もしかするとあるのかもしれない。


それがわからないからこそ、私は何の反論もできないのだけれど。


生産棟と工業棟をつなぐ渡り廊下を走っている時に、「昨日」も聞いた健司の叫び声が聞こえた。


玄関から遠くにいるから、その声も恐怖を覚えるほどじゃない。


今日も、カラダを見つけられたらいいな……。


そんな事を思いながら、私達は工業棟へと足を踏み入れた。


工業棟に入り、階段を駆け下りて、一階に到着した。


まだ探していない部屋は5つ。