「疲れないわけがないじゃん……でも、休んでたら殺されるし」


その場に立ち上がり、スカート整えると、私と高広に目をやる留美子。


手をつないでいる事に気づいたのだろう。


「あら? あらら? 仲良く手をつないで……ふたりとも、気持ちに素直になったんだ?」


「あぁ? 明日香の足が遅いから、俺が引っ張らなきゃいけないだろうが」


留美子の言葉に、つないだ手を見せながら高広が反論するけど……それは逆効果な気がする。


「おい、そんな話は後にしろ。そろそろ開くぞ、ドアの前に集まれ」


そう言って、玄関を指差す翔太。


その言葉に従って、私達は玄関に向かって歩いた。


今日も、地面に座ってうつむいたままの健司。


朝に見た時と、雰囲気が少し違う……と、いう事は、もう取り憑かれているのかもしれない。


私達がドアの前に来た時、ゆっくりと、軋むような音を立てながら、それが開き始めた。


ドアが開き始め、人がひとり通れるかどうかという隙間に、身体を強引に押し込み、玄関に入った。


健司はまだ動き出していない。


「じゃあ、昨日と同じだ! 急ぐぞ!」