布団の中にいる「それ」が遥なのかはわからない。


でも、遥以外には考えられない状況だ。


「う……ん。ちょっと、誰? 私の身体触ってるの……」


よりにもよって、こんなタイミングで目を覚ました留美子。


さすがに、身体の上をはわれたら、目を覚ましてしまうだろう。


もう、私の胸の辺りまで来ている……布団は盛り上がってないのに、その冷たい感覚だけがさらに上がってくる。


そして、身体と布団の隙間から伸びてくる白い二本の手。


それが私の頬を挟むようにつかんだ瞬間。


布団が盛り上がり、そこから姿を見せる黒い物体。


その黒い物体が、遥の頭部だとわかった時……。






「ねえ、明日香……私のカラダを探して」







顔を上げた遥はそう言い、布団の中に吸い込まれるように消えたのだ。


今日も、遥の強引な頼みに、「カラダ探し」の前に精神がおかしくなりそうになる。


少しでもこの不安を解消するために、時間まで眠る。


これもいつも通りの行動だ。






そして、0時になって、私達は学校の玄関前に集められた。


「明日香、起きろ。ほら、早く準備しろって」


私の身体を揺すりながら、そう言う高広の声に目を覚ました私は、目をこすりながら、高広の顔をジッと見つめる。