さっきもそうだ。


滝本とかいうヤンキーにからまれた時も、高広の姿が見えた時にはうれしかった。


理恵がおんぶされていて、うらやましいと思ったから……。


私は、留美子に気づかされたのかもしれない。


高広を好きだという事を。


小さな公園、遊具のない老人の憩いの広場といったようなこの場所で、私と高広は何も話さないまま、時間だけが過ぎていく。


チラリと理恵達の方を見ると、ふたりでこちらを心配そうに見ている。


理恵、元気そうじゃない。


そんなに元気なら、もう家に帰っても大丈夫なんじゃないの?


「明日香、なんか話せよ。ただ座ってるだけなんて、退屈だろ?」


高広が先に話しかけてきた。


なんかって……何を話せばいいの?


今まで何も思ってなかったから、何を話せば良いかわからないよ。


「た、高広は、退屈なの? 私は……こうしてボーッとしてるのも好きだけど」


「まあ、明日香はそうだよな。小学生の頃から、授業中でも、窓の外見てたりよぉ。俺も嫌いじゃねぇけど」