理恵の頭をなでたまま、留美子に吠える。


「高広、私は留美子にいてもらうからさ、明日香と向こうのベンチで休んでてよ。皆いると、落ち着いて休めないしさ」


理恵が、高広の手を取り、少し離れたベンチを指差して笑った。


それで……私と高広は、理恵に言われるままに、ふたりでベンチに座っていた。


一体何を話せばいいのか……。


「昨日」までは、ただの幼なじみのバカなやつって思っていたのに、留美子が変な事を言うから、妙に意識してしまう。


思い返せば、高広が家に来た時もそう。


そわそわしていると思ったら勝手に寝てたし、私のベッドで、良い匂いがするって言ってた。


昨夜もそう、私と手をつないでくれたし、更衣室では、抱きしめてくれて……。


今日は今日で、朝からチャイム鳴らしまくってたし、さっきも普段はしないメールをして、私を探していた。


良く考えれば、そうなのかもしれない。


留美子から見れば、高広は私の事を好きだという風に見えている。


でも、私にとって、高広は幼なじみで……。


恋愛の対象としては見ていなかったのに。


でも、手をつないでも、抱きしめられても、嫌じゃなかった。