そんな高広に背負われている理恵を、少しうらやましく思い始めていた。


私達は、とりあえず近くにある公園のベンチに理恵を寝かせる事にした。


そこに運んでいる途中で、理恵は目を覚ましたようだけど、まだ頭がボーッとするという事で、休ませるために。


「ありがとうね、高広。運んでくれて」


ベンチで横になっている理恵が、高広に笑顔を向ける。


「あ? 気にすんなって。理恵なんて軽いもんだ。なんなら、家までおんぶしていってやるぜ?」


そう言って、理恵の頭をなでる高広。


「とかなんとか言って、あんた、理恵の胸の感触を楽しみたいんじゃないの?」


言わなくてもいいのに、留美子が余計な茶々を入れる。


そこは優しい高広をほめるところだと思うんだけど。


「んなわけあるか! たぶんぶたれた時に、あごの近くに当たったんだろ? その時か、倒れた時にでも頭を打って、軽い脳しんとうを起こしたんだと思うぞ。まあ、すぐ治るはずだから、おとなしくしてた方がいい。そう思ったから言ってるのによぉ」


「た、高広……あんた、バカなのになんでそんな事知ってんの?」


「バカだけ余計だ! んなもん、喧嘩してたら嫌でも身体で覚えるっての」