また、何かが折れる音が聞こえたけど、今日の「カラダ探し」が終われば、私達と会った事も忘れる。


高広にしては、抑えた方だと思った。


滝本と、取り巻きのひとりを放ったままで、私達はその場を後にした。


気絶したままの理恵を高広が背負い、一番近くにある休める場所に向かう事にしたのだ。


「ったく、なんで俺がこんな事に巻き込まれなきゃならないんだよ……」


背負っている理恵のパンツが見えないようにと、理恵の腰に高広のブレザーをくくりつけて。


「でも、助かったよ。私なんて怖くて動けなかったもん。ありがとうね」


私がそう言うと、高広は照れたように顔をそらした。


「でも高広、なんで店から出てきたのよ。あ! もしかして明日香を探してたわけ!?」


「ち、ちが……俺が学校にいても、やる事ねぇからよ……暇つぶしでブラブラしてただけだ」


「本当はどうなんだか。でも、そのおかげで助けられたんだけどね。ありがと」


留美子の言葉に、高広は「おう」と呟いた。


高広は、きっと私を探しにきたんだと思う。


普通だったら、気持ち悪いと思うその行動も、なんだか私はうれしくて。


理恵の腰に巻かれたブレザーも、高広の優しさだと私にはわかっていた。