滝本が、留美子の胸ぐらをつかみ、怒鳴った時だった。


カラオケ店の自動ドアが開き、頭をかきながら……高広が出てきたのだ。


なんで高広がこんな所に?


もしかして、私がカラオケに行くってメールしたから?


なんて考えてる場合じゃない。


「へへっ、俺はこの巨乳ちゃんに決ーめた」


そう言って、理恵の腕をつかみ、留美子から引きはがす取り巻き。


「いやっ! は、放して!」


理恵が叫び、その手を振り払おうと腕を上げたが……その腕は、取り巻きの男の顔に当たってしまった。


「テメェ! ふざけんじゃねぇぞ!!」


それに怒った取り巻きが、振り払われた手で、理恵の頬を叩いたのだ。


その勢いのまま、地面に倒れ込む理恵。


そして、その騒ぎにやっと気づいたのか、高広が不思議そうにこちらの方を向いた。


胸ぐらをつかまれる留美子、地面に倒れる理恵。


その異常な光景を見た高広は、滝本の方に近づいて一言。




「何やってんの?」




「あぁ!? 誰だよテメェは!! 俺はこの女に足を折られたんだよ! 部外者は引っ込んでろ! 殺すぞコラ!」


滝本のその言葉に、高広の顔色が変わったのがわかった。


高広が……本気で怒っている。