金髪の学生が、ニヤニヤしながら私達を見回した。


「滝本、こりゃ折れてるなあ……全治3ヶ月ってとこだな」


取り巻きのひとりが、金髪の学生の足を見ただけで、そんなバカな事を言い出した。


「だとさ、あー、いてぇ。誰のせいかなぁ?」


滝本と呼ばれた男は、ニヤニヤしながら留美子を見つめる。


何これ……これがカツアゲってやつなのかな?


「あんたが脚を引っかけたんでしょ! だったら、あんたのせいじゃん!」


振り返って、滝本をにらみつけた留美子。


しかし、その滝本は、ゆっくりと立ち上がり、足を引きずるようにして留美子に詰め寄ったのだ。


「ふーん、やっぱり近くで見ると、みんなかわいいじゃん。俺達とカラオケしない? それで足の事は許してやるからさ」


「はぁ? 何なのその下手クソなナンパは。どうせ最初から、それが目的だったんでしょ! バカじゃない!?」


カツアゲじゃなくてナンパ。


それも、こんなヤンキーみたいな人達に。


「る、留美子……もう行こうよ、こんな人達無視してさ」


留美子の腕を引っ張って、理恵が不安そうに言った。


「お前らさあ、ナメてんの? こっちは足折られてんだぞ! だったら治療費払えよコラ!! 無理なら、身体で払わせてもいいんだぞ! あぁ!?」