私はムスッとした表情のまま、留美子と理恵の後に付いてカラオケ店に向かって歩いていた。


ふたりは相変わらず私達の話ばかり。


「きっと、幼なじみってのが良いんだよね。近くにいるのに遠い存在ってやつ?」


「そういうの憧れるよねぇ。私にはそういう人がいないから、余計にかな?」


もうカラオケ店がそこに見えてるっていうのに……。


でも、この店は私には入りにくい雰囲気があった。


隣にゲームセンターがあるせいか、学校をサボっている他校の生徒が入り口の前で座り込んでいる。


金髪の、ヤンキーといったような雰囲気の学生と、その取り巻きらしき学生がふたり。


あまり関わり合いになりたくない人達だ。


その前を、無視して通りすぎればカラオケ店に入れる。


そう思った時だった。




「きゃっ!」





前を歩いていた留美子が、突然バランスを崩してよろめいたのだ。


留美子が転ばないように、慌てて支えようとする理恵。


私は見ていた。


その学生が、留美子の足を引っかけるように、脚を伸ばしたのを。


「あー、いてぇ。足が折れたかもしんねぇ」