食事を終わらせた後、私達は留美子がよく行っているというカラオケ店に向かって歩いていた。


相変わらずふたりは、私と高広の話で、その私が話に入れない。


「ちょっと、ふたりともそろそろ違う話しようよ」


これ以上ふたりの妄想が膨らんでしまうと、付き合っているという事にされかねない。


「えー、だって明日香に彼氏ができたんだよ? 盛り上がって当然じゃん」


どうやら、遅かったみたいだ。


すでにふたりの中では、高広は私の彼氏……って、そんなのあるわけないじゃん!


「どこまで話を大きくしてるのよ! 朝に一緒に登校してるだけで、付き合ってる事にはならないでしょ!」


「付き合ってないのに毎朝一緒に登校するのもおかしいんじゃないの? それに……いつだったか、『明日香が寝かせてくれなかった』って言ってたじゃん。あの時も一緒にいたんでしょ? あの時から怪しいと思ってたんだよね」


それを言われると、何も言えない。


事実、あの日、高広は私の部屋にいたし、ベッドで寝ていたのを叩き起こしたから否定はできない。


でも、本当に、留美子が想像しているような事はなかったし。


高広は勝手に寝ていたのだから。


ありもしない妄想をされる事を、こんなに不快に思った事はなかった。