なんて、前も同じ事を思っていた気がする。


それに、余裕が出来たと言っても健司の事がまだ残ってる。


あれは、「赤い人」なんかよりもずっと危険だ。


追いつかれたら、自分が死んだ事も気づかないくらい、あっという間に殺されてしまうのだから。


振り返っても大丈夫だという事は確認できたけど……歌声が「赤い人」と似ているから、声だけで判断するのは不可能。


姿を見なければわからないけど、もしもそれが「赤い人」だった場合、振り返る事ができなくなる。


条件を満たしてしまえば殺される「赤い人」に、見つかれば無条件で殺される健司。


考えてみれば、最悪の組み合わせなのだ。


でも、あと3つ……カラダを探せば終わるのだから、それまで頑張ればいい。


それだけが唯一の救いに思えた。


私達は、とりあえず今まで入った事のないレストランで食事をする事にした。


留美子の希望でイタリアンのお店に入り、話をする。


個人経営の小さなお店で、ランチタイムだというのに、客はひとりだけ。


テーブルが3つしかないから、そんなものなのだろうか。


「ところで明日香は、『カラダ探し』で高広と一緒にいてどうだった?」


テーブル越しに、留美子が好奇に満ちた眼差しを私に向けている。