それに、知的障害者だった泰蔵に、そこまでの事ができたのだろうか?


「それに、自殺するとも思えんのよ……きっと、事件の真犯人に殺されたんやと思うで」


そう言った時に、初めておばあちゃんは悲しそうな表情を浮かべた。


そして、それっきり、写真の話には触れようとしなかった。


話を整理すると、八代先生が調べた事とは異なる点がある。


泰蔵は、「小野山美子」を殺してはいない。


そして、自殺をしたわけでもない。


泰蔵もまた、誰かに殺害されたと言う事。


つまり、真犯人が泰蔵に、バラバラ殺人の罪を着せたのだ。


そう思うと、写真の中で満面の笑みを浮かべている泰蔵がかわいそうになった。


それから、しばらくして私達は、おばあちゃんの家を後にした。


時計を見ると11時で、翔太達も八代先生との話は終わっているはず。


私達は、雑談をしながら学校に向かっていた。


「なんか、八代先生が調べた事と、おばあちゃんの話が違ってたね。真相がどうなのかはわからないけど」


泰蔵が犯人なら、事件の真相は八代先生が調べた通りだったけれど……そうじゃないなら、振り出しに戻された感じがする。