「カラダ探しって、校舎全体でやらなきゃならないの?」


「教室のカギとか、開いてるのかな?」


「理科室は嫌だよ」


それぞれが、思っている事や不安をただ回しているだけで、建設的な話し合いとは程遠い、ただの雑談に近い。


そのメモのやり取りをしている間、私は遥を見ないようにしていたけれど……。


ずっと、見られているような感じがしていた。


それが遥かどうかはわからない。


でも、チラリと見た遥の後ろ姿……遥の頭の中から髪を分ける手と、そこからのぞく目を、私は見たのだ。







そして放課後、私達は「昨日」と同じように集まり、話をしていた。


「ねぇ、マジでヤバいんだけど……また『カラダ探し』させられるんでしょ?」


いつものやる気のない留美子じゃない、恐怖で声が震えている。


私は……遥の髪からのぞく、あの不気味な目が頭から離れず、何も言いたくない気分だった。


「また……あのメール来るのかな? 気持ち悪いメール」


理恵が言っているのは、あの大量のメールの事だろう。


私も、あんなメールは見たくない。


「だったら、電源を切っておけばいいんじゃないか?」