私が横から写真をのぞき込むと……そこに写っているのは、赤ん坊を抱いた女性と、ふたりの男性の姿。


皆笑顔で、微笑ましい家族写真といった物だ。


別段変わった様子もないごく普通の物だけど、高広はこの写真のどこが気になるのだろうか?


「ばあちゃん、教えてくれないか? この写真の事を」


そう言い、おばあちゃんにその写真を向ける。


「あら、懐かしい……腰が曲がってしもうてから、その写真が見えんようになったから」


と、写真立てを手に取り、うれしそうな笑顔でそれを見つめる。


「その写真だけ、写ってる男の人が違う。どうしてだ?」


高広の言葉に私は立ち上がり、タンスの上に飾ってある写真を眺めた。
……確かに、高広の言う通り、他の写真には別の男性と男の子の姿。


明らかにあの一枚だけ、違っていたのだ。


「この写真はねぇ、私と最初の主人と息子。これはタイちゃん、良い子だったんだよ」


ニコニコしながら私達に写真を見せ、指差して説明をするおばあちゃん。


タイちゃん?


なんだろう、この違和感は……。


昔の写真だけど、おばあちゃんよりも年上に見える、小太りで丸刈りの男性を、「タイちゃん」と呼ぶ事が不思議に思えて仕方がなかった。