その理由がまったくわからない。


何かが足りない……足りたところで「カラダ探し」には、何の役にも立たないかもしれないけど。


「じゃあ、あんたが理恵をレイプしようとしたのは何だったのよ? あれもあんたじゃないって言うの?」


留美子は、ききにくい事でも平気できいてくれる。


あの時、健司は「赤い人」に追われて、体育館の扉を開けてくれと頼んだはず。


だったら、誰かに操られていたなんて考えられない。


「あれは……何だか変な感情が湧いてきて……気づいたら、理恵の上にまたがってた……」


「ハッ! ずいぶん都合が良い話じゃん! 何でも人のせいにすれば良いってもんじゃないんだよ!?」


留美子の、弱った人への追い打ちが始まった。


三日目の時の翔太にも追い打ちをかけたくらいだ。


でも……健司の言葉は、どこまでを信じて良いのか悪いのか、それは本当にわからないところではあるけれど。


何も知らない、わからないと繰り返す健司に、これ以上は何をきいても無駄だと判断した私達は、部屋に一歩も入る事なく学校に戻る事にした。


あの部屋には入ろうとは思えない。


それに、不謹慎だとは思うけど、今日の「カラダ探し」が終われば、元に戻っているわけだから、あんな風に派手に家具を壊しても問題はないのだ。


ストレス解消にはちょうど良いかもしれない。