不思議に思った私は、高広と留美子の間から、部屋の中をのぞき込んだ。


「えっ……」


私は、その光景を理解する事ができなかった。


グチャグチャに壊された家具、散乱する本、そして、赤い塗料が部屋中に塗られた中でベッドの上に膝を抱えて座り、怯えた表情で健司がこちらをジッと見ていたのだ。


さすがにこれは……なんと言うか、わけがわからない。


自分の部屋の家具をここまで破壊して、部屋を真っ赤に染める理由は何だろう?


赤と言えば「赤い人」だけど、その呪いが関係しているのだろうか。


「お、お前ら……何しに来たんだよ……」


立ち尽くす私達に、ベッドの上の健司が話しかけてきたのだ。


その言葉に、ハッと我に返った私達。


ガタガタと、何かに怯えているのがここからでもわかる。


「健司、お前が何してるんだよ、これ……」


部屋の中を指差して、健司にたずねる高広。


しかし、健司も頭を抱えて、何もわからないといった様子で、首を横に振る。


「お、俺は何も知らない……何もわからないんだよ!! 夜になったら、俺が俺じゃなくなるんだ!!」


その言葉の意味はわかる気がする。


もしも、その言葉が本当なら……という条件は付くけれど。