それは、私と高広が出した答えとは違う道。


「ちょっと、留美子。なんでこっちなのよ。学校ここでしょ? だったら向きが違うんじゃないの?」


先を行く留美子に駆け寄り、私は慌てて地図を指差してたずねた。


「この学校ってさ、小学校の事じゃない? だったらこの向きじゃないの?」


そう言われてみれば……そうかもしれない。


「あー……なるほどね。気づかなかったよ」


「気づいてないって言えばさ、明日香もたいがい鈍感だよね。高広、絶対明日香の事好きだよ」


「は!? 何でこのタイミングで!? まあ、それは……ないんじゃない?」


だって、昔から知ってるし、幼なじみだし。


「だから鈍感なの。毎朝家に迎えにくるなんて、そうとしか考えられないじゃん」


そんな事を言われると……変に意識しちゃうじゃない。


後ろを歩く高広をチラリと見た私は、目が合った瞬間、顔をそらした。


留美子も意地悪だ。


何も、こんな時にそんな事を言わなくてもいいのに。


そう言われてから高広を意識してしまって、顔も見る事ができない。


それを考えると、「昨日」手をつないでくれたのも、棚の上で抱きしめてくれたのもそうだったのかな。


だからこそ、余計に気になる。


「えっと、その交差点を右に曲がったとこだね……って、明日香、くっつきすぎ!」


「え? あ、ごめん!」