私は、そのまま歯みがきを続けた。


歯をみがき終わって、パンにマヨネーズをぬりつける。


マーガリンもいいけど、私が最近ハマっている食べ方はこれだ。






ピンポーン。






さっきから、何回チャイムを鳴らせば気が済むんだか……。


落ち着いて、食事をする事もできない。


そう思いながら、私はカバンを持ち、パンを片手に玄関に向かった。


「もう! 今出るから! 少しは待ってよ!」


靴を履き、ドアを開けるとそこには案の定、高広の姿。


私の顔を見て安心したのか、険しかった表情がフッと柔らかくなったのがわかった。


「あ、明日香、すまん! あんな事言ったのに……すぐに死んじまった!」


手を合わせて、頭を下げて謝る高広。


そんな事、する必要ないのに。


「大丈夫だよ。ちゃんと棺桶に納めたから。まあ、追いかけてきた健司に、殺されちゃったけどね」


そう言い、パンを一口。


高広でも健司を止められないなら、もう、他の誰にも止められない。


それはきっと、何人いても同じだと思う。


「でさ、その事なんだけど……」