ドアが壊れてしまうかと思うほど叩かれ続けて……。


そして、音が止んだ。


諦めたのだろうか……。


でも、まだ視線を感じる。


私が、恐る恐る顔を上げて見ると……。


そこには、何もない、ただの天井があるだけ。


「よ、良かった……諦めたんだね……」


フウッと、深い溜め息をついて、ドアを開けて外に出ようとした時だった。


ガシッと、背後から肩をつかまれて……。



「ねえ、明日香……私のカラダを探して」



遥は……私の背後にいたのだ。


私は、確かにドアの向こうに遥がいる事を確認した。


なのに、どうして私の背後にいたの?


叫ぶ事もできずに、トイレの壁にもたれかかって脱力している私の前を、遥が無表情で通りすぎる。


「カラダ探し」を頼んだら、もう私には目もくれない。


しばらくボーッとした後、深い溜め息をつき、重い足取りで私はトイレを出た。







「今日は、私ひとりで『カラダ探し』か……どうしよう」


そう呟きながら、教室へと向かって歩いていた。


教室に戻りたくない、今すぐ帰って布団の中で眠りたい。


それで……明日になっていてほしい。


そんな事を考えながら、トボトボと歩いていた時だった。



「明日香ぁ!! どうしよう……また私頼まれちゃったよ……もう嫌だぁ」