それでも、ドアの隙間から漂って来る冷気はどこも変わらなくて。


トイレ特有の、不気味な雰囲気が私の身体を包み込んでいる。


「振り返ったら、遥がいるなんていないよね……」


ハハッと、引きつった笑いをこぼして、ゆっくりと振り返ってみるけど、当然のようにそこには誰もいない。


「カラダ探し」をさせられているこの状況では、何が起こってもおかしくない。


怖いから、早くここから出よう。


ブルッと身震いをして、タンクに付いているレバーをひねった。


「あれ? 流れない……」


大じゃなくて良かった……じゃない、タンクに何か詰まってるのかな?


どうせ調べるつもりだったんだから。


そう思い、タンクをふたを開けて、携帯電話の明かりで中を確認した。


瞬間、私の心臓が、ドクンと音を立てたのがわかった。


そこには……制服の一部。


遥のカラダが隠されていたのだ。


こ、こんな所にカラダがあった……。


制服の形状からして、これは遥の左胸。


タンクの中にあるはずの浮きや、管も取り払われて、カラダがそこにある。