それに、どうせいつかは探さなければいけないなら、今探しても同じ。


「私は入ってみたい。どんな所か知らないしね」


「いや、だから後で……まあ、良いけどよぉ」


そう呟き、うつむいて首を横に振る高広。


意見が通らなかったからか、少し不機嫌そうに工房のドアを開ける。


その部屋の中は、高広の言う通り、工場のような内装。


まるで鉄工所のような雰囲気をかもし出していた。


「なんか、独特の匂いがするね。これって鉄の匂い?」


さっき、更衣室で嗅いだ匂いよりもさらに濃い匂い。


「溶接の匂いじゃないのか? 作業服も同じ匂いがしてただろ?」


そう言われてみれば、そんな気がする。


工房に入って、高広が後にしようと言った意味が私にも理解できた。


他の部屋に比べてかなり広く、物がごちゃごちゃ置かれたこの部屋を、調べ尽くすだけで時間がかかる事は目に見えていたから。


工房を探し始めたのは良いものの、妙なコードや塗料、金属材などが所狭しと並べられていて、カラダが隠されていてもわからないかもしれない。


こういった物に縁がない私にとって、ここにある物すべて、使用用途のわからない謎の道具だ。


興味もないし、あまり触りたくもない。