「にしても……健司なら、代わりに探してくれたな。後は引き出しだけか」


そう呟き、窓側に向かって歩く高広。


そして、棚の引き出しを調べ始めたのだ。


私もさっきの続きから、引き出しを調べ始める。


「高広は、八代先生から何かきいたの? 健司の事とか、『カラダ探し』の事とかさ」


「んー、あいつらの話はわかんねぇ。俺がわかったのは、健司の事はわかんねぇって事と、カラダが集まるにつれて、『昨日』が少しずつ変わって行くって事だな」


やっぱり、「昨日」が変わったのは、カラダを集めた量に関係してたんだ。


八代先生の時も、きっと「昨日」は変わっていったのだろう。


次は、何個集めたら「昨日」が変わるのか。


私はそこが気になった。


更衣室の引き出しを調べ終わった後、ドアに耳を当てて、廊下に誰もいない事を確認してから、私達は廊下に出た。


シーンと静まり返り、冷たい空気が足元に漂う廊下。


さっきは、走ってここに来たから冷気なんて感じてる余裕がなかった。


「工房は後にするか。一回入った事があるけどよ、工場みたいだぜ、ここは」


その部屋を指差す高広。


でも、そんな事を言われると、逆に気になってしまう。