「顔もお手てもまっかっか~」
ひとつ目の棚の作業服を全部投げ捨てたのだろう。
このままでは……見つかってしまう。
私は、抱き締められている高広の制服の襟をギュッとつかみ、呼吸の音にも細心の注意を払っていた。
「髪の毛も足もまっかっか~」
二つ目の棚の作業服も、次々と床に放り投げられる。
私を包む高広の心臓の鼓動も、私の心臓と同じくらいの早さで。
きっと、不安になっているんだという事がわかる。
そして……最後の棚を残すのみとなった。
「どうしてどうしてあかくする~」
作業服をつかみ、床に放り投げる。
「どうしてどうしてあかくなる~」
さらに一着……まるで、ジリジリと私達を追い込むのを楽しんでいるかのように、作業服を投げ捨てている。
このままでは見つかってしまうという恐怖で、落ち着けていた呼吸が少しずつ荒くなっていく。