三段の引き出しの上に、ハンガーをかけるためのバーがあり、そこに作業服がかけられているという、少し変わった棚。


天板の上には、生徒達の私物が、所々に置かれていたけど、そこにカラダは無かった。


「聞いた話だけどよ、この作業服は三年間洗濯しないらしいぜ? だから、ロッカーにすると臭いから、こうしてるって聞いたな。まあ、工業科に女子はいねぇからな」


そんな話を聞かなきゃ良かったと思うのは、私だけだろうか?


なんだか、この作業服が汚物に見えて仕方ない。


「ん? 明日香、ちょっと立て」


ドア付近の引き出しを調べていた私に、高広が近づいてくる。


そして、立ち上がった私の左肩をつかみ、壁に押し当てた。


こ、これは、一体どんな状況なの!?


どうして高広が私を?


「え? な、何? 冗談は……」


「シッ! 明日香……何か聞こえねぇか?」


そう言い、耳を澄ます高広。


なんだか……変にドキドキした私が馬鹿みたいだ。


高広のいう何か、というのは一体何なのか。


私も目を閉じて、耳を澄ました。








「……かい ふ~くをくださいな~」