カラダさえ集まれば、「昨日」から抜け出せるのだから。


「あの後、八代先生と何か話したの?」



私達が部屋を移動した後に、3人で何を話していたのか。


翔太なら、きかなければならない事をきいてくれたはず。


「後で話す。まあ、何を言ってるのかわかんなかったけどな」


高広に期待はしていなかったけど、予想通りの答えだと、それもなんだかむなしい。


それでも、大切な話は覚えているはずだ。


そんな事を考えていると……。


私達の目の前で、玄関のドアが開かれたのだ。


「じゃあ、行くぞ。『赤い人』には気を付けろよ!」


特定の誰かに言ったわけじゃない。


皆に言うように、高広が声を上げて校舎に入った。


私もその後に続いて、校舎に入る。


高広と一緒に、工業棟に行かなければならない。


校舎に入る前にチラリと見た健司は、ゆっくりと立ち上がろうとしていて。


言いようのない不安を私は感じていた。


私の後に入って来た3人も、チラチラと健司を見ていたようだけど、どんな行動を取るのかは誰も予想ができない。


だから、なるべく遠くに離れなければならないのだ。


今の私達は「赤い人」だけじゃない、味方であるはずの健司までもが襲いかかってくるという事態に陥っているのだから。