どうやら、そんな変化はしないようで安心した。


「そう、キミ達が調べた情報と大差はないんだ。でも、そこに書いてあるだろう? 美子と美紀は、事件当日に喧嘩をしていたらしいんだ」



その隣のページに矢印が引かれて、「赤い服と白い服で喧嘩。使用人が目撃」


と書かれていたのだ。


そのノートを見ながら、口を押さえて考え込む翔太。


赤い服と白い服で喧嘩……。


女の子なのだから、もしかすると赤い服が良いという事で喧嘩になったのかな?


私では、その程度の事しか考えられない。


「うわっ! 明日香これ見てよ、気持ち悪いよねぇ」


壁に貼られた紙を指差して、私を見る留美子。


その紙には、「赤い人」と思われる絵が描いてあって、言いようのない不気味さを醸し出していた。


「それは僕が描いた『赤い人』だよ。どうだい? そっくりだろう?」


自慢気に八代先生がそう言うが、そっくりなんてレベルじゃない。


写真のような精密画。


手に持っているぬいぐるみまで、しっかりと描かれている。


こんな絵を描ける八代先生は、一体何者なんだろう。


「八代先生。『赤い人』の歌が、このノートには書かれていないようですが?」