小野山美紀? 「小野山美子」じゃないの?
理恵もそう思ったはずだ。


留美子は部屋に貼られた不気味な紙を、訝しげに見つめていて、今の言葉には気づいていない様子。


「そう、そこに書いてある通り、小野山美紀は……美子の双子の姉だ」


八代先生の言葉に、私も翔太が持つノートをのぞき込んだ。


小野山美紀は、「小野山美子」の双子の姉だった。


家族構成は、祖父母と両親を含む6人家族。


しかし、美子が殺された数日後、美紀も原因不明の病に倒れ、この世を去る。


また、美子を殺害した後、自殺したとされる「山岡泰蔵」という人物は、知的障害者であったが、美子と美紀とは仲が良く、いつも一緒に遊んでいた。


本当にこの、山岡泰蔵なる人物が、美子を殺害したかは不明。


余談ではあるが、建設中の校舎が完成した年に、山岡泰蔵の弟である山岡雄蔵が死亡。


当時は、美子の呪いで弟まで犠牲になったと騒がれたようだが、真相は定かではない。


「これは、俺が調べた新聞記事だな。でも、美紀の事は知らなかったよ」


確かにそこには、「昨日」の夜に翔太がメールで送った物と同じ記事のコピーが貼り付けてあった。


「小野山美子」の写真が、また真っ赤に変わらないか、心配ではあったけれど。