そして、先生に案内されるままに、私達は二階の先生の部屋へと向かっていた。


「なんか……意外だよね。イメージだと、ボロアパートの部屋の中に、洗濯物が吊るしてあるって感じだったけど」


階段を上りながら、広い玄関を振り返って呟く留美子。


「ちょっと、先生に聞こえちゃうよ?」


理恵が慌てて止めようとするが、先生には聞こえていたみたいで、ハハッと苦笑して、階段を上っていた。


二階に上がり、一番奥の部屋。


そこが八代先生の部屋のようで、引き戸を開けると、さらに意外な事に、きれいに整理整頓された室内が、私の目に飛び込んで来た。


「うわ、なんかきれいすぎて、逆にムカつく!」


「悪かったね。この部屋だけはきれいにしてるんだよ」


先生相手にも遠慮がない留美子に、苦笑が止まらない八代先生。


部屋の中を見回す私達だったが、高広は早々にソファに寝転んでしまった。


ここでも寝るつもりだろうか?


「あ、この部屋だけって事は、この襖の向こうは汚いんでしょ?」


まるで、あら探しをするかのように、隣の部屋に続くふすまを開けた留美子。


しかし、その好奇に満ちた表情は、一瞬にして固まったのだ。