「は、はいぃぃ、申し訳ありません」


怒った様子で玄関から出てくる田村先生を見送り、私達は八代先生に歩み寄った。


「先生も、大変なんだね」


理恵がボソッと呟いたその言葉に、苦笑いを浮かべながら、人差し指で頬をかく八代先生。


「は、恥ずかしい所を見られちゃったな。まあ、それじゃあ僕の家に行こうか?」


旧校舎の横にある駐車場の方を指差して、玄関から出てくる。


話をきくだけかと思ったら、家に招待されるなんて、思ってもみなかった。


皆思っているのだろう。


あからさまに怪訝な表情で八代先生をみている。


「うん? どうしたんだい? 早く行こう」


しかし、そんな事など意にも介さないといった様子で、八代先生は駐車してあるワンボックスカーへと向かった。


その後に続く私達。


でも、なんだか不安は増すばかり。


先生が、何を知っているのか……この後、その理由を知る事になる。


八代先生の車に乗り込んだ私達は、校門から出て5分。


歩いてでも行けるような距離に、八代先生の家はあった。


思った以上に近くにある、近代和風建築の大きな家。